Ningの再発見

Ningを覚えているでしょうか。Web2.0という言葉がまだできたばかりで、今のようにジョークでしか使えなくなる前の2005年の10月、Netscape社をたちあげたマーク・アンドリーセンがコーファウンダーになっている、ソーシャルアプリケーションをかんたんに作ることができるプラットホームとして話題になったNingです。

ふたを開けてみるとNingで最も有名なアプリケーションはCuteOverlordのWhat's Cuter?で(独断と偏見です)、3ヶ月後にはTechcrunchにNing - R.I.P.?でけっきょくHTMLとかPHP書けないとだめで簡単に作れなくて自由度は低くていいことないみたいに書かれてもう終わった的な空気で誰も話題にしなくなりましたが、1年後に大変身、ソーシャルアプリケーションのプラットホームからソーシャルネットワークサービスのプラットホームに、現在はなっています。TechCrunchでもNing、フルバージョンアップでいい感じに書かれていて、さらにGoogle Launches OpenSocial to Spread Social Applications Across the Webの参加表明サイトリスト
The sites that have already committed to supporting OpenSocial -- Bebo, Engage.com, Friendster, hi5, Hyves, imeem, LinkedIn, mixi, MySpace, Ning, Oracle, orkut, Plaxo, Salesforce.com, Six Apart, Tianji, Viadeo, and XING
にその名前を見つけてうれしくなりました。すっかりソーシャルネットワークのためのサイトとしての立ち位置を固め、Ning Jobsを見てもたくさんの職種でひとを採用しているので、うまくいっているんだと思います。

Ningのかっこいいところ

立ち上がったときには、ソーシャルアプリケーション開発のためのプラットホームでかんたんにソーシャルアプリケーションが作れる(実際はそんなことなかったけど)という面が強調され、そして今はほんとにソーシャルネットワークを作ることしかできないように見えますが、ほんとはソーシャルアプリケーションを作るみたいな表面的なところではないところにもかっこいいところがあって、他の使い方もできてべんりですよ、というのを紹介したいと思います。えらい前振りが長いですね。

Clone this App

もうこの機能はなくなっちゃった(Ningのフォーラムで読んだところによると、昔開発されたプリケーションにはこのボタンがついているものもあるらしいですが、新しく作られたアプリケーションにはついていないらしい)ので"かっこよかったところ"なんですが、Ning上で開発されたアプリケーションをClone This Appというボタンひとつでまるまるコピーすることができました。 Webのアプリケーションは、デスクトップで動くアプリケーションに比べて、インストールしてちょっと試してみる、というのが非常にめんどくさいです。たとえばMoMB | The Museum of Modern Betasで使われているTextpatternをちょっと試してみたい、と思ったら、ファイルをダウンロードしてきて、サーバ上で展開して、どこかのファイルにデータベースの設定を書いて、という手順を踏んで初めて使えるようになります。そんな面倒な設定はなしでClone This Appするだけでアプリケーションのコピーが作れて自分で試すことができたら、ウェブのアプリケーションを今より気軽に試してみることができます。
clone this app

このClone This AppのコンセプトはNingからはなくなってしまいましたが、昨年末にリリースされたNingのjavascriptバージョン(NingはPHPでコードを書くようになっています)ともいえるAppJetにも見ることができます。ソースコード表示画面にあるClone This Appボタンを押すと、そのアプリケーションを自分用にコピーすることができるようになっています。

コンテンツのライセンス

ソーシャルアプリケーションの価値は、そのプログラムよりもそこに蓄積されたデータにあると言ってもいいでしょう。もし今のmixiの機能(プログラムの提供するもの)はそのままで、ともだち関係ネットワークとコミュニティのデータがないとしたら、果たして人々はmixiの上にデータを蓄積するかどうかは怪しいところです。

Clone This Appは、ソースコードの自由な利用という文化から作られたコンセプトでした。プログラムではなく、そこに蓄積されたデータにこそ価値があるソーシャルアプリケーションでは、プログラムのソースコードを自由に利用できることにはありま意味がありません。ソーシャルアプリケーションの上に蓄積されたデータを自由に利用できること、それができなければ、本当の意味でソーシャルアプリケーションを自由に利用できるとは言えないのです。

Ningは自由に利用できることをソーシャルアプリケーション上に蓄積されるコンテンツに対しても適用しています。NingのTerms of Serviceを見てみましょう。 Licenses to Contentの部分に
License from You

Your Content remains yours. We claim no ownership interest in the Content you provide on Networks running on the Ning Platform. However, we also want to encourage sharing of Content between Users and Networks across the Ning Platform. To this end, by uploading Content to a Network in which the Content is designated as Public Content, you grant to Ning and all other Users a nonexclusive license to reproduce, create derivative works of, distribute, publicly perform, and publicly display such Content on the condition that the Content is attributed in a manner specified by its author, if at all (a “Public Content License”).
とあります。Ningにアップロードされたコンテンツの所有権はアップロードしたひとにあるれけど、アップロードしたNing上のアプリケーションだけでなくNing上にある他の全てのアプリケーションで自由に再利用することを認めるPublic Content Licenseになります(オプションで再利用を認めないPrivate Content Licenseも選択可能)。


プログラムだけでなくデータを自由に利用できることにすること、このことはソーシャルアプリケーションにとって重大な意味を持ちます。もしTwitterがNing上にあったとしたら、単にClone This Appボタンを押すだけでプログラムがコピーされでなく、その上に蓄積されたfollowing/followed関係ネットワーク、メッセージ、過去に蓄積されたデータも含めて同じアプリケーションができあがります。

OpenSocialでも、データにこそ価値があるんだという意味でOpenSocial: It's the data, stupidなんて話もありました。

プログラムよりもデータの価値が高まってきているからこそ、データにも自由なライセンスを、という流れをNingはその利用規約にも織り込んでいたのでした。だれも気にしてなかったけど。

単なるPHPが動くサーバとして使える

でもなにより自分が気に入っていたのは、よくわかんないNing独自のPHP API Classなんかさくっと全部無視してただのPHPが動くサーバとしてふつうに使えることでした。ソーシャルネットワーク用のサイトになった今でも単なるPHPのサーバとしてふつうに使うことができます。 phpinfo()で見てみると、PHPのバージョンは5.2.3になっていて、モジュールもAPC, curl, exif, GD, libxml, mbstring, SQLiteとひととおりついています。PEARのライブラリも標準じゃないものもわりと入っていて、入っていなくても自分でアップロードすればふつうに使うことができます。アップロード可能な容量は、ソースコードが10M, Private Contentが500M, Public Contentが5Gになっています。
ning stats

さらにscp/sftpでアクセスすることができるので、開発はローカルでやってscpでNingにアップロードして運用、というのがかんたんにできます。
Ning SFTP
自分でメンテしなくていいPHPの動くサーバとして、なにか小さなプログラムを置いてみんなにさわってもらったりするのには最適だと思います。あ、あとHTTPSでも繋がるので、Firefox3からextensionを配布するのSSLで接続できないと必要になる面倒な作業(Latest topics > Firefox 3で安全にアドオンを配布するための方法のまとめ - outsider reflex参照)をしないで済むNingはFirefox Extensionの配布サーバとしても便利に使えます。

まとめ

そんなかんじでNingはプログラムの自由な利用だけでなく、データの自由な利用を前提にしているところがかっこいいし、Ningの上にソーシャルアプリケーションを作ろうなんて考えは丸ごと捨てて単なるPHPのサーバとして使っても便利なのでもう一度そういう視点でも見直してみてもらえたらうれしいです。

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